東京2020大会全体総括記者会見

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)は、2021年9月6日(月)、記者会見を行い、橋本聖子東京2020組織委員会会長、武藤敏郎東京2020専務理事・事務総長、高谷正哲東京2020スポークスパーソンらが出席し、東京2020大会を総括しました。

橋本聖子東京2020組織委員会会長

コロナ対策

昨年秋頃から、単一競技の世界大会では実施されてきたバブルの概念を、オリンピックで33競技、パラリンピックで22競技という、非常に規模の大きいマルチスポーツ競技大会に統合することは、大きなチャレンジでもありました。

しかし、すべての参加者と、都民・国民の皆さま双方にとって、安全で安心な大会を開催すべく、IOC、IPC、国、東京都、東京2020組織委員会は緊密に連携し、議論を重ね、アスリートの他、来日する大会関係者のジャーニー別に、緻密な計画を立ててまいりました。

安全・安心の要(かなめ)であった「検査」は、オリ・パラ期間を通じ、空港検査・スクリーニング検査、合わせて100万件以上の実施となりました。これにより、陽性者を早期にキャッチし、速やかに隔離して、大会の安全な環境を確保してきたところです。

また、用務先の限定を含む、来日者14日以内の徹底した行動管理を行う方針も、重要な決定でした。ほとんどの来日関係者においては趣旨を理解いただき、また、感染防止の観点からも、ルールを遵守して行動いただいていたところです。当然、安全な大会運営の根幹とも言うべき方針であり、違反者がいた場合には、都度、厳しい態度で臨んでまいりました。

観客については、3月にまず海外からの観客を断念し、また、国内についても、ほとんどの会場において無観客としたことは他の国内スポーツよりも厳しい対策であり、安全最優先の方針の中で、これも重要な日本側の判断でした。

全体として、オリ・パラ通じて、安全最優先の開催を実現し、大きな問題無く大会を終えられたのは、国、東京都、関係自治体、その他関係機関の皆さまの、感染症対策における大変なご尽力と、大会開催に向けた多大なご協力のおかげです。心からの感謝を申し上げたいと思います。

東京2020大会の開催意義

昨年3月に史上初の延期が決まり、その後開幕直前まで、世の中には、コロナ禍でなぜ大会を開くのかを問う声もありました。

しかし、このような困難な時代で、コロナによって分断された世界だからこそ、オリンピック・パラリンピックを開催することで、人々の繋がりや絆の再生に貢献し、スポーツの力でふたたび世界をひとつにすることが、今の社会に必要なオリンピック・パラリンピックの価値であると、信じてきました。

振り返れば、東京2020大会は、2011年の招致の際から、東日本大震災直後の困難な時代に向き合い、社会においてスポーツとアスリートがいかに役割を果たすことができるかを、一貫して大きなテーマとしてきたと思います。

10年間、変わらずこのテーマに向き合い、ようやくこの夏、私たちは、世界中のアスリートが集うひとつの舞台を作ることができました。そこで毎日見た光景は、人々の絆であり、多様性の中の調和であり、平和の象徴であり、そして、スポーツが果たせる力そのものでした。

報道で拝見しているオリンピック直後の世論調査によれば、6割から7割近い方が、大会を開催して良かったと回答していると理解しています。開催を通じて、大会の無形の価値が多くの方に伝わり、開催の意義を一人でも多くの方に肯定いただけていたら幸いです。

オリンピック・パラリンピックは、契機であり、きっかけです。まずは、この困難な状況下で、パンデミック後世界で初めてのグローバルイベントであるオリンピック・パラリンピックを開催し、しっかりとバトンをパリにつなげたことを誇りに思いたいと思います。

今の時代に合った持続可能性に配慮した大会運営、ジェンダー平等を含む多様性と調和に対する意識、共生社会実現に向けた社会のバリアフリー化など、ポジティブな変化のきっかけを生み出すことができたと考えています。

特に、ジェンダー平等・多様性と調和に関する取り組みについては、私が会長に就任した背景も踏まえ、特に力を入れて取り組んでまいりました。オリ・パラ移行期間中には、「東京2020D&Iアクション」の公表に至りました。東京2020大会を契機に、多様性と包摂を備えた社会へと確かな一歩を踏み出すためのアクションを、大会関係者とともに宣言するものです。

東京2020組織委員会はやがて解散しますが、このプロジェクトに関わったすべての団体・関係者が、スポーツの力を信じ、ここをゴールとすることなく、スタートにすることを願っています。東京2020大会は豊かなレガシーを日本と東京に残し、10年後、20年後、私たちは大会を一層誇れる真の社会の変革を達成できるのではないかと考えます。

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最後になりますが、大会の開催を支えていただいた皆さまに心より感謝を申し上げます。東京都、国、関係自治体、パートナー、スポーツ界、あらゆる関係団体の皆さまのおかげで、オールジャパン体制で、この大会に臨むことができました。

また、オリンピック・パラリンピックムーブメント関係者の皆さまにも、厚く御礼を申し上げます。

特に、IOCバッハ会長におかれては、東京2020組織委員会発足後の様々な課題に対し、都度ご経験に基づく適切なアドバイスを頂き、ひとつひとつ丁寧にご指導いただきました。特に、コロナで史上初の大会延期が決定された後も、誰も経験したことのない大会延期にあって、バッハ会長のリーダーシップは、東京2020開催実現に無くてはならなかったと思います。IOCのチームを率いて、いつも東京2020組織委員会を支えていただいたことに、感謝申し上げます。

IPCパーソンズ会長にも、御礼を申し上げます。大変若いリーダーでありながら、パラリンピックを通じた、誰もが生きやすい社会の実現に情熱を傾ける姿に、私たちはいつも鼓舞されてきました。パーソンズ会長の妥協を許さない姿勢があったからこそ、私たちも大きな問題無く大会運営を遂げることができました。

そして運営を支えたボランティアの皆さん。無観客となった会場においても、皆さんがアスリートに寄り添い、大会を忘れられない記憶にしていただきました。ともに現場を支えてくれたコントラクターの皆さん、職員にも、御礼の気持ちを伝えます。

武藤敏郎東京2020専務理事・事務総長

2014年1月に東京2020組織委員会が設立されてから、7年半の歳月が経ちました。設立時に44名だった職員も、最大で7,000人となり、さらに7万人のボランティア、コントラクターも加わって、大変大きなひとつのチームとなりました。

2014年まで遡ると、最初の会場計画全体の見直しは、最も重要な大会戦略の転換だったのではないかと思います。招致で決まっていた計画をすべて白紙とし、そこから既存会場の活用を推し進めることになりました。既存会場の利用は、当初全体の4割程度でしたが、おおよそ6割まで増え、会場変更で2000億円以上のコスト削減を達成することができました。

当時は、会場変更の提案をIFが簡単に認めない状況もありましたが、今や、開催都市に新規の恒久施設を主張するIFは皆無であろうと思います。私たちの方針転換に加え、IOCもオリンピックアジェンダ2020で方針転換をしたことから、この8年の間で、国際スポーツ界における常識は大きく変化したと言えると思います。将来の組織委員会に継承すべき、持続可能な大会運営の礎は、東京・日本発で築くことができたのではないかと思います。

持続可能性は、その後も東京2020組織委員会の大きなテーマの一つとなりました。都市鉱山からメダルを作るプロジェクト、再生プラスチックで表彰台を作るプロジェクト、全国の木材を活用する選手村ビレッジプラザ、被災地復興仮設住宅のアルミ建築廃材を再利用して製作された聖火トーチなど、象徴的な取り組みを推し進めることで、社会の意識の変化に貢献すべく努めてきたところです。

運営全般総括

大会を開催するにあたっては、やはりコロナ対策が最大の課題でありました。対策に万全を期して、全ての大会参加者と都民・国民の皆さまに、いかに安全で安心な大会の開催についてご理解をいただけるか、延期後は多くの時間と労を費やしてきました。

国、都、東京2020組織委員会の三者の緊密な連携と、綿密な計画、そしてプロトコルに則った対策実行の甲斐あって、専門家の先生からも、海外から到着時点での陽性率が低い傾向であることは、事前の感染対策・事前の検査などがある程度功を奏していたこと。早期に無症状のうちに陽性者を発見できる体制が取れていて、その後大きく拡がらない体制はとられていたと評価するコメントがありました。

大会運営全般においても、大会の根幹を成す競技運営、会場運営、変化する天候への対応など、課題はありましたが、ひとつひとつ丁寧に乗り越えながら、大きな問題なく対応が出来たと考えています。

輸送については、大会期間中、交通需要マネジメントや交通規制、首都高速道路における料金施策の取組を実施してまいりました。関係する皆様に混雑緩和へのご協力を頂いたことで交通量が減り、輸送ルートの渋滞がほぼ抑制され、選手や大会関係者を時間どおり円滑に輸送することができました。交通混雑緩和の取組に協力いただいた皆様、各企業や経済界の皆様、関係機関の皆様に、感謝申し上げたいと思います。

東京大会は、オリンピック・パラリンピック通じて、デジタルで人々と大いに繋がる大会となりました。東京2020公式ウェブサイトの累積訪問者数は2021年9月5日時点で約1憶9,570万人となっています。無観客の大会となった一方、人々との繋がりをもって、大会の魅力と価値を直接伝え続けてきたと思います。

また、大会は多くのボランティアの方に支えられてきました。オリンピック直後にボランティア向けに実施したアンケートにおいては、約16,000件ものコメントをいただいています。皆さん大変楽しんで活動に参加された様子が分かり、「一生の思い出になった」「忙しくも、楽しく充実した11日間でした」などのコメントが多く寄せられました。さらに、海外からきたアスリートや大会関係者からも、ボランティアのおもてなしに大変に感銘を受けたと多くの声を頂いております。大会の成功はボランティアの皆さんのご尽力のおかげです。

これまで様々な課題に直面してきましたが、東京2020オリンピック・パラリンピックを開催するという使命は果たすことができたと考えています。

IOCをはじめとするオリンピック関係者の皆さま、IPCをはじめとするパラリンピック関係者の皆さま、国、東京都、関係自治体、パートナー、あらゆる関係団体の皆さま、コロナ対策にアドバイスを頂いた専門家の皆さま、現場で対応いただいた医療従事者の皆さま、メデイアの皆様、大勢の方々に支えられ、大会の開催が実現したと考えております。最後に皆様に心から御礼申し上げます。

 東京2020組織委員会は、今後、大会の記録を取りまとめるとともに、東京大会を成功裏に終えるため、大会後も決算はじめ様々な業務に取り組んでいくことが必要であり、引き続き、都や国と緊密に連携してまいります。

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